竹本 裕太



chapter.2〜19

1巻

 chapter.2  いや・・・でも待ちましょうよ 一緒にやりたそうだったし・・・
 それに・・・森田さん なんだかんだいって 寂しがりやだし
 楽しみにしてるっぽかったから 先にやっちゃったら 落ち込みますよ
 待ちましょう


 chapter.5  夏休みを長いと感じた 初めての夏だった


 chapter.8  はぐちゃん もちょっと ガマンだよ





2巻

 chapter.10  ああ 今度は 丈夫な人を 選んだんだ と


 chapter.10  「小さくなったんじゃないの?」と 言いかけて口をつぐんだ
 多分その 両方なのだ


 chapter.14  オレは ぼんやりと さっき 土手から見上げた 青空を 思い出していた
 君がいて みんながいて たったひとつの ものを探した あの青い空
 そして 風の匂いと 一面の―





3巻

 chapter.17  オレは クリオスマスが 苦手だった
 この色トリドリの 電飾のピカピカを 見る度 胸が痛くて
 「お前は今 しあわせか?」 「居場所は あるのか?」 ―と
 問い詰め られているような 気がして
 ―でも でも 今年は この12月の 街中のキラキラの 中にいても
 一度も さびしいなんて 思わなかったんだ


 chapter.17  唐突だけど 静かに 皆で過ごす クリスマスは
 これが 最後なのだと感じた・・・・・・・・


 chapter.18  そんなコトない 絶対にない
 恥ずかしいのは僕だ カッコ悪いのも・・・


 chapter.18  ―いったい 恋って何なんだ?
 どうして ボクら ずっと笑って いるだけで いられない?


 chapter.18  小さい頃 僕には 観覧車が 何の為にあるのかが わからなかった
 のろくて ただ高いだけで 一度乗っただけで あきてしまった
 ジェットコースターに ループスライダー
 わくわくする 乗り物にしか 目がいかなかった 
 でも 今なら なんとなく解るような 気がする
 この 観覧車という 乗り物は 好きな人と一緒に
 ゆっくりと 空を横切ってゆくために あるのだ 多分
 「少しこわいね」 なんて 言いながら・・・・・・


 chapter.18  何かとても 不思議だ 何年か前までは ボクら
 お互いに カオも 知らなかったのに
 今は こうやって まるで 当たり前みたいに 一緒に過ごして
 夕暮れの空を 見上げて 「きれいね」なんて 言っている
 スピーカーからは オルゴールの音で ずっと
 小さい頃に 映画館で観た 懐かしいアニメの 主題曲が
 静かに流れ つづけていて
 世界が 美しいのは 君をのせて回って いるからとか
 たしか そんな歌詞だったな なんて 思い出しながら
 君のとなりで見る 夕暮れは やっぱり
 胸が 苦しくなる程 きれいで ―きれいで


 chapter.19  そうだ 彼女も変わった 少しずつだけど
 多分少し より良いほうへ
 ―それを さみしいと思う
 ボクの気持ちが わがままなだけで


 chapter.19  ボクたちが 先生の歳になる迄 あと10年くらい
 その頃 30歳と少しのボクらは どんな大人になっているんだろう
 まだうんと先に思えても 今日は明日へ
 明日はその日へ とぎれようもなく つながっている ゆるやかに
 いつの日か ボクらも もっと 大人になって
 まるで 子供時代なんて なかった様に 思われる
 そんな 日が来るのだ ―平等に


 chapter.19  先生・・・ ボクに 聞かないでください
 お願いだから そんなこと・・・・・・


 chapter.19  流れおちてゆくものを 止める術はないけれど
 今はただ こうしていよう もう少しの間だけ
 雪のニオイのする町を ぬけて 帰って あったかいものを 喰おう
 そして まるくなって 眠ろう


 chapter.20  最近 ヘンだ 自分が ここにいるのに いないような気がする
 何か やる事 しなきゃダメな事 あせらなければ いけない事 
 たくさんあったハズなのに
 アタマが ぼっとするのは このクスリの せいだろか
 ナミダとハナミズで 風景がぼやける
 気がつくと昔のことばかり くり返し思い出してる
 これって アレだろか
 「その時 子供の頃のキオクが 走馬灯のように」 ―ってヤツ・・・・・・?


 chapter.20  サクラの花が 目の前を くるったように 横切ってゆくから
 同じビデオを ずっと巻き戻してる ような 気持ちになる
 くり返し くり返し


 chapter.21  桜の花が好きだ でも なんでだろう 散ってしまうとホッとする
 消えていくのを 惜しむ あの切ない気持ちから 解放されるからだろうか


 chapter.21  彼女が ボクの前では 自由にしていて くれるのが嬉しかった
 目の前でおいしそうに プリンをほおばる姿が とても いとしかった
 一緒にいると 胸がつまって
 ものを飲み込むのも 苦しいような・・・・・・
 そんなキモチを 恋というのなら ―ほんとに オレばっかり 恋してたんだな


 chapter.21  何考えてんだよ わけわかんないよっ
 いつも いつも そーやって 勝手ばかり・・・・・・・・・・・・・・・
 ―今に 無くすからな そんなんじゃ わかってんのかよ!?


 chapter.21  ―言葉に つまった瞬間
 さっき見た ジェット機の 爆音が 頭の中を ゆっくりと 横切っていった





>>>chapter.22〜